1990年代以降、日本の政治・経済は大きな曲がり角に立たされてきた。この間、日本政治のキーワードは「改革」であった。この「改革」を軸に変容しつつある現代日本の政策空間の実態とその影響を解明することは重要な課題であった。本研究は2000年代の衆議院総選挙における各候補者の選挙公約を政党・政治家・政策の各レベルで分析し、現代日本の政治過程における政策(特に「改革」政策)の意味・影響を実証的に明らかにする事を目標とする。具体的には、各政治家の選挙公約の収集分類、政策軸の抽出、政党レベルの分析、政治家レベルの分析、政策レベル、特に改革関連の政策分野についての分析などを実証的に検証しようとするものである。 公約データの作成は、きわめて時間・労力がかかったが、2000年、2003年、20005年の3回の衆議院総選挙について、テキストデータ・各公約を単位とするデータ、各候補者を単位とするデータをそれぞれ完成させることができた。現在、このデータを利用しての分析を進めている。現時点の知見としては、政党レベルでは自民党の政策的移動が顕著であること、与党間に政策的近接性があること、政策分野的にはこの期間には教育政策が重要であったこと、改革への言及が福祉へのそれと対置されることなどが明らかとなった。今後は、データクリーニングをさらに進めると共に、現在行っている分析の完遂、また遅れている政治家レベルの分析を行い、公約研究の更なる発展を期したいと考えている。
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