本研究の目的は、政治家や官僚を目的合理的な行為者と想定する合理的選択制度論の立場に立ち、日本と韓国の政治行政の比較を通じて、ミクロの因果メカニズムを捉えつつ、制度と政治的帰結との間の因果関係分析を行うことであった。このような研究目的に照らし、平成19年度は、平成17年度にハンナラ党、ウリ党の国会議員、政党職員を中心に、また平成18年度には、民主労働党の議員や政党職員、引退議員の団体である「憲政会」等にも対象を広げて行ってきたインタビュー調査の内容をもとに、韓国国会議員の「議員行動」またそれぞれの政党の組織的特徴について分析を行い、研究の取りまとめを試みた。またその際、韓国人若手研究者による最新の研究結果を確認し、それとの差別化を図り、また研究協力の可能性を探ろうとした。平成19年度は、大統領選挙の年であったため、議員や政党職員に対する調査の継続を試みたが、これについては予算の関係上断念せざるを得なかった。政治家への調査が研究計画作成時点の予想を超えてはるかにうまく展開していただけに、また特に大統領選挙後に、ハンナラ党で見られた党公認のプロセスは、本研究の調査課題と深く結びつくものであったものだけに、こうした結果に至らざるを得なかったのは残念なことであった。政治家キャリアのデータ分析については、基礎データを得ることの難しさから、平成17年度、平成18年度には、当初予定していた範囲でのデータ入力が十分には行えなかった。そのため平成19年度においては限定された範囲で可能な限りの試験的な分析を行った。
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