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2006 年度 実績報告書

近代政治思想と宗教

研究課題

研究課題/領域番号 17530115
研究機関立教大学

研究代表者

吉岡 知哉  立教大学, 法学部, 教授 (90107491)

キーワード社会契約説 / 宗教改革 / 宗教戦争 / 主権政教分離 / ナショナリズム / 国民国家 / ユートピア
研究概要

本年度は以下の諸点を中心に研究を行った。
1.近代社会契約説と宗教の関係に関する再検討
近代社会契約説の背景には、以下のような宗教的契機があったと考えられる。
第一に、キリスト教の分裂である。宗教改革とそれに続く宗教戦争は王権のもとに統合されつつある政治社会を引き裂く内戦として展開された。このため、正統性原理の根本的な再構築が必要とされた。
第二に、既存の政治共同体の解体に伴い、政治の単位を新たに設定し直す必要が生じた。
第三に、世俗化の進展により宗教意識の拡散が進行した。
宗教的内戦の克服は世俗の主権によって行なわれることになるが、世俗国家がそれ自体として正統性を主張するには至らない。ホッブズ、ロック、ルソーにおける社会契約説の展開は、宗教意識の変容と対応して考えるべきである。
2.近代国家成立過程における宗教戦争の意義についての検討
宗教戦争によって、それまでキリスト教という共通項の存在によって覆われていた政治共同体間の関係、政治共同体内部の下位の共同体間の関係が露になり、世俗的な原理による権力の再編成が求められた。
3.ユートピアの宗教
近代ユートピア思想は宗教問題を主要な軸として展開される。寛容の主張から、多様性を前提とした宗教的自由への転換過程を検討した。
4.政教分離問題への展望
フランス革命は宗教と世俗国家との関係の一つのモデルを提示した。しかし19世紀は国家と宗教とがせめぎ合うとともに、ナショナリズムという信条体系が確立する時代である。本研究においては前提の確認に止まったが、宗教と政治という視点から19世紀を再検討する必要があろう。
5.現代における宗教と政治
現代においては、国家の統合力が弱まり、主権国家一国民国家の変容が進む中で、市民社会内部からグローバルなレベルに至るまで、宗教と政治の関係が問題となっている。本研究の背景となる現代の諸問題の検討を並行して行なった。

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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