研究概要 |
研究代表者の山田は,日本人の政治参加のあり方が長期的にどのように変化してきたのかを,全国的なサーヴェイ・データを分析することで明らかにした.その結果,日本ではエリート挑戦型の参加が増加していないこと,個々の参加手段相互の結びつきが時期によって変化していること,また参加における性差,所得差が減少していることなどが日明らかとなった. 研究分担者の竹中は,(1)イデオロギー対立はなくなったのか,(2)イデオロギーの争点に対する拘束力はなお低下を続けているのか,(3)イデオロギーの投票行動に対する規定力はなお保たれているのか,といったリサーチ・クエスチョンを掲げ,以下のような発見を得ている.第1に自民党一党優位体制崩壊後も,イデオロギーがわからない有権者は増えておらず,また保守化や中道化も進んでおらず,有権者の間にイデオロギー対立がまったくなくなったわけではないこと.第2に争点に対する拘束力に関しては弱まる傾向を見せつつも,とくに安全保障に関する争点を中心に保革イデオロギーは争点態度に対する拘束力をいまだに有している.第3に投票行動との関連において保革イデオロギーは,自民党と野党第1党とを弁別するよりも,自民党と社民・共産両党とを弁別する度合いが強い. 同じく研究分担者の森は,これまでの得票構造分析の集大成たる共著書において,小選挙区比例代表並立制という現行制度への変化が得票構造にどのような影響を与えたのかを分析している.その中で森は,中選挙区時代の得票地盤が効果的に再編されていること,自民党が従来強かった農村部において得票を減少させていることなどを発見している.
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