1.ボスニアにおける紛争後社会の国際支援の研究と国際シンポジウムでの報告 1995年のデイトン・パリ和平協定の締結後10年が経過したなかで、紛争後社会ボスニアにおける国際機関の支援体制の変容とその特徴、さらに民主主義の定着、秩序安定化の実績について現地調査するとともに、2005年7月14日の国際シンポジウム「多民族社会における民主主義と人権」(サラエボ近郊コニッチ市)において紛争後社会の国家建設と国際機関について、ボスニアを事例に研究報告をおこなった。 2.コソヴォ平和構築における国際社会の介入と民族共存の可能性についての研究と論考の公表 1999年3月のNATOによるコソヴォ空爆とその後の国際機関による安定化政策はコソヴォ社会に何をもたらしたのか。事実上、「保護領化」したといわれる、コソヴォの実態を国際社会の介入の論理、さらに国際機関の間のミッションの競合と横断的な連携の欠如について、論考、「コソヴォ危機と人道的介入」として菅・石田共編『21世紀の安全保障と日米安保体制』に掲載した。なおコソヴォへの人道的介入については、『ナショナル・インタレスト』(ベオグラード)2号(近刊)において掲載される。 3.旧ユーゴスラヴィアの解体と秩序再編の体制転換期における、旧体制との連続性と非連続性について、チトー体制の継承と転換を「経路依存性」の視点から考察し、2005年度の比較政治学会において、「旧ユーゴスラヴィアの解体と民主化過程における断絶と継承」と題して報告した。さらに、チトー主義の再考という視点から、雑誌『アソシエ』に「ユーゴスラヴィアの民族紛争とチトー主義再考」を発表した。
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