研究課題
基盤研究(C)
本研究では、イギリスにおける二つの連続する政権交代現象を比較分析し、特にヨーロッパ統合運動への対応としてのイギリスの対外経済政策の変遷過程を直接の素材としてとりあげた。それを適切な文脈のもとで分析するためまず引き続くダグラス=ヒューム政権がその枠組みの中からスタートせざるを得なかった、マクミラン政権期の対EEC政策発展過程を把握・整理した。マクミラン政権におけるEEC加盟申請に至る過程とその交渉経過の過程での政治的リーダーシップの役割に注目した分析は研究分担者がおこない、首相個人リーダーシップのもたらした政策決定過程への影響力の分析をおこなった。内容は成果報告書の第1部にまとめてある。ついでマクミラン政権末期、EEC加盟申請失敗後から引き続くダグラス=ヒューム政権下での保守党政権のEEC政策再検討過程を研究代表者が分析した。分析結果は成果報告書第2部、第3部におさめた。最後に64年10月の政権交代後の労働党ウィルソン政権初期(66年3月総選挙まで)の対EEC政策について研究代表者が分析をおこなった。内容は成果報告書第4部にまとめてある。こうした作業の結果得られた基本的知見は下記のように要約できる。すなわち政権交代にともなう政治的リーダーシップの変遷は政策決定者自身の設定する政策優先順位の変動を反映して、表面に現れる対外政策には有意な変動をもたらすが、政策決定の実際的作業や中長期的検討作業に従事する関係省庁中上級官僚レベルに存在する継続的かつ日常的な政策検討はそのようなリーダーシップの変動にもかかわらず強い政策継続のためのモメンタムを生むことが観察された。もちろん強い政治的リーダーシップがそのようなモメンタムを打破する事例も存在し、客観的国際情勢の変遷と個々の政策決定者のパーソナリティの融合により外交政策変動は起こるというべきであろう。政権交代期はそのような変遷過程が短期間に顕著に現れる時期と考えることができる。
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法経論叢 25巻2号
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法経論叢 25巻1号
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Houkei-Ronsou(The Law and Economics Journal vol.25, no.1
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http://www.za.ztv.ne.jp/npiquet/papers/index.html