平成17年度は、課題である欧州憲法条約批准をめぐる国民投票に関して研究を開始し、順調に展開できた。現地調査2回の成果を学会報告2回、討論1回、論文3本にまとめた。 1 EU各国において本格化した国民投票の見通しについて、植田隆子・国際基督教大学教授との共著で『世界週報』5月3目号に小論をまとめた。これまでの国民投票を整理し、フランスの国民投票結果の重要性を強調した。 2 5月末から6月初めにフランス、オランダ、デンマークに出張し、批准作業の最初の山場となったフランスとオランダの国民投票(それぞれ5月29日、6月1日実施)を現地で視察し、資料収集、面接調査を行なった。 3 国民投票を同様に実施する予定であったデンマークについて、欧州憲法条約反対派の中心勢力、デンマーク国民党に焦点を当てた分析を日本比較政治学会で6月26日に行なった(報告「デンマークにおける新しい右翼-デンマーク国民党を事例として-」、日本比較政治学会、名古屋大学、平成17年6月26日)。この報告のペーパーを加筆修正し、11月刊行の本務校紀要『地域政策研究』に発表した。 4 9月後半、デンマーク、スウェーデンに出張し、欧州憲法条約に対する両国の対応について、現地調査を行なった。デンマークは国民投票の実施を延期し、議会承認のみを行なう予定のスウェーデンも批准作業を延期した。 5 同問題をめぐる国民投票の進捗状況について、11月20日に日本国際政治学会で発表した(報告「欧州憲法条約批准過程と国民投票」、日本国際政治学会部会「欧州統合の現状と課題」、札幌コンベンションセンター、平成17年11月20日)。この報告のペーパーの一部を平成18年2月刊行の『地域政策研究』にて発表した。 6 11月22日、慶應義塾大学で行なわれた国際シンポジウムの「欧州憲法条約と国民投票」セッションにて討論者を務めた(慶應義塾大学21COE-CCC国際シンポジウム「多文化世界における市民意識の動態」・国際関係市民意識セッション「欧州憲法条約と国民投票」、慶磨義塾大学、平成17年11月22日)。
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