平成19年度は、現地調査を1回行ない、順調に研究を継続するとともに、最終年度であるため、研究をまとめることにも精力を注いだ。論文1本、共著2本を書くとともに、学会にてEUの分科会を組織し、司会を務めた。 1 9月にスウェーデン、デンマークに出張し、欧州憲法条約を断念し、新条約を作ろうとしているEUの動向を現地で調査した。この動きは、12月にリスボン条約署名として結実し、新たな批准作業が始まった。 2 10月、北ヨーロッパ学会(於:北海道東海大学)にて、分科会「EUと北欧」を組織し、司会を務めた。2名の報告者がスウェーデンなどを中心に政治面、経済面の動きを分析したのを受けて、質疑では最近のEU情勢にまで議論が発展した。 3 11月に論文「欧州憲法条約批准過程と国民投票」の続き(2・完)を『地域政策研究』(高崎経済大学)に発表した。欧州憲法条約をめぐる国民投票とその後の停滞と打開の動きを紹介した。 4 12月、田中俊郎、小久保康之、鶴岡路人編『EUの国際政治-域内政治秩序と対外関係の動態-』(慶應義塾大学出版会)の1章として「欧州統合の中の北欧諸国」を発表した。北欧各国のEU政策の特徴と最近の展開を分析した。 5 平成20年3月、山内進編『フロンティアのヨーロッパ』(国際書院)の1章として「フロンティアからみた北欧・EU関係-その歴史的展開と可能性-」を発表した。ここでは、北欧・EU関係を歴史的に振り返り、相互の影響とそのもつ意味を論じた。
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