18年度には、本研究の目的に関連する以下の研究活動を行った。 1)論文"The Reswitching Debate Revisited : A New Model for Reswitching Debate"をフランクフルト大学のセミナー.(2006年4月24日)で報告し、司会のB.シェフォールト教授等と討論・意見交換を行った。この論文は資本理論の中心的論点である技術の再転換論争を論じたものである。 2)論文"Pasinetti's Dynamic Standard Commodity and the General Price Level"をヨーロッパ経済学史学会第10回大会(2006年4月28日)のパシネッティ教授の『構造変化と経済成長』の出版25周年記念の特別セッションにおいてパネラーとして報告した。この論文は申請者の生産性指数・所得指数を用いて標準商品の価値の異時点問比較や物価水準を問題としたものである。セッションではポルタ教授、アレーナ教授、ハーコート教授、パシネッティ教授らと意見交換を行うことができた。 3)論文「産業連関表を用いた物価水準の要因分析の方法」を環太平洋産業連関分析学会(2006年10月29月)で発表した。申請者の指数を用いてスラッファ体系を基礎とした場合の物価水準を論じた。 4)ハインツ・クルツ教授の講演会(2006年11月13日)を群馬大学で開催し、研究交流を行った。 5)論文「不変の価値尺度と現代経済学」(西川潤・八木尚志・清氷和巳編著『社会科学を再構築する』明石書店、2007年1月刊所収)を執筆した。この論文では申請者の生産性指数・所得指数を多期間比較に拡張し、多期間比較のための通時的標準商品と通時的標準労働という概念を提案している。 6)論文"A New Interpretation of the Price Wicksell Effect"を群馬大学・伊香保研修所における国際セミナー「成長、再生産、及び資本」(2007年3月12日)において報告した。 7)本研究の報告書(英文)を作成した。この報告書は、スラッファ体系の解釈から集計的生産関数の基礎までの広範囲の問題について申請者の考えやモデルをまとめたものである。
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