研究概要 |
本年度における研究成果は次の4つに分けられる。いずれも国際化を内包している。 1,論文 Annual Bulletin of Research Institute for Social Sciencesに英語論文「ピグー、国民最低限保障、および失業」を載せた。ベヴァリッジの初期思想がケインブリッジ学派とどのような関係があったかという視角である。ケインズに関する本の書評も行い、「現代経済学の潮流を守るケインズ派」も執筆した。 2,編著 小峯編『福祉の経済思想家たち』(ナカニシヤ出版)を出版できたのが最大の成果となる。これは25人の若手研究者を結集し、経済学者が福祉をどのように捉えてきたかと内外初めて明示的に論じた本である、本研究の広がりを示す。「ケイシズとベヴァリッジ」を担当し、両者の協働によって福祉国家ができたと論じた。 3,海外渡航 7月のオーストラリア経済学史学会で「指導者としての企業家:ラヴィントン」を発表し、学会冊子に掲載された。12月のロビンズ75周年記念セミナーに参加し、その前後にLSE古文書館でキャナン、ベヴァリッジに関する一次資料を収集した。ここでロビンズ卿の子息やホーソンなど著名な人々と会い、知見を交換できた。 4,国内研究会 前年度に出版した単著『ベヴァリッジの経済思想』の合評会が弘前で開かれた。その他、経済学史学会全国大会で報告し、社会思想史学会では招待講演「福祉国家の思想:再訪」の発表者となった。
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