研究概要 |
本研究は,石油ショック以降の日本経済において,労働生産性の上昇が雇用の減少、排除とがどのように関連していたかを,主として産業連関表,接続産業連関表のデータを利用して,3年計画で統計的に分析することを目的としている。第1年目には1975年以降の産業連関表の産出高データを,各年次の産業分類を調整することによって,相互に比較可能なように整理した。次いで,第2年目には,主として(3)産業連関表の雇用表について,同様に,産業分類の調整により,相互可能性を確保する作業を進めた。 第3年目の本年度には,まず各年次の産出高の物価変動による食い違いを除くために,各年次の接続産業連関表に示されているインフレータを利用して物価変動調整のための計算を行った。接続産業適関表には5年毎の3回分のインフレータが示されているが,それらのインフレータを2000年度を基準に調整し,1975年度からインフレータを統一的に利用可能にして利用した。次いで,物価変動を調整した産出額と雇用表に示されている従業者数と対比し,労働生産性の上昇が著しかった産業(竃気機器,輸送機械,精密機械,等)では,一定生産額当りの従業者数が激減してきたことを,具体的な統計数字によって確認した.さらにこれらの対比の結果をグラフに示し,視覚的にも確認できるように表示した。製造業における労働力、雇用の減少の背景には,このような労働生産性の急速な上昇による労働力、雇用の排除があること,数字的に具体的に確認できた。 以上の3カ年の研究の要点を整理し,研究報告書を作成した。
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