研究概要 |
今年度は,5月に開催された韓国文化経済学会の国際学会に討論者として招待され,創造的産業の1つである映画産業の国際浸透に関する討論を行い,創造的産業の国際競争力に関する理論と現状に関する知見を深めることができた。 また,創造的産業へのインセンティブの1つである税制に関して行ってきた国際共同研究の成果を国際学会誌に掲載することができた。創造的産業へのインセンティブの1つとしての税制に関しては,他に,10月〜12月にかけてCanonヨーロッパ財団のフェローシップで来日したイタリア・カターニャ大学のAnna Mignosaとともに共同研究を行い,更に,1月には文化庁の調査で,オランダ,イギリス,フランスを訪問しインタビュー調査を行うなど国際的な動向を把握することができた。 その結果,文化領域におけ税制は,1980年代以降,直接支援が中心であった「ヨーロッパ諸国でも発展してきていること,それは,文化遺産の保存と活用,美術館ストックの増加など従来の文化政策の枠組みを超えて,文化アントレプレナーを促進する文化ファンドなどへも広がり,創造的産業の集積やインキュベーションにも関わっていることが分かった。 日本では経済産業省が管轄するコンテンツ産業の国際的地位の低下が懸念されているが,オランダでは、文化省と経済省,都市空聞部局の政策統合の試みが既に始まっており,文化政策と産業政策の政策統合の視点が重要であることが分かる。
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