研究課題
基盤研究(C)
初年度である平成17年度は、基礎となる資料の収集確認と関連データの入力作業及びそれを用いた簡単な分析を行なった。本格作業は次年度以降の課題である。検討の焦点となる銀行、とりわけ破綻銀行のコーポレートガバナンスに注目する本研究では、日本長期信用銀行と日本債権信用銀行の2行の元取締役に対する刑事及び民事訴訟で用いられた裁判資料の積極利用を企図している。断片的に見るかぎりではきわめて豊富な情報量を示唆するこれら資料の信頼度および実質的利用価値は、もちろん、具体的に検討してみないとわからないし、具体的検討のためには、実際の裁判に関与した法律家を含めた多方面にわたる「関係者」の協力が必要である。この面での基礎作業、つまり、関連情報の入手と、さしあたりの「関係者」の協力の確保については、現段階では順調に推移している。もう1つの焦点は、銀行を構成メンバーの一部とする金融・資本市場の現実の機能の仕方である。金融・資本市場の研究においては、従来、ややもすると銀行中心主義とでもいうべき先入観・偏見が強力に作用していた。より広い視点に立って、実質的に銀行と競合しあるいは補完関係にあった、資金需要サイドに位置する企業にとっての「代替的資金調達手段」にも注目する必要がある。ノンバンクおよび企業間信用を提供する事業会社等がその代表である。実際、銀行の「不良債権」の多くがこれらに関連して発生した。とりわけ企業間信用に関する情報と研究の蓄積が乏しいので、この点に関する基礎的な検討作業も開始した。現時点までに作成しあるいは公表した成果はいわば助走段階のものである。
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Explorations in Economic History 43
ページ: 94-118
経済セミナー 2/3月号
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Corporate Governance in Context : Corporations, States, and Markets in Europe, Japan, and the US (Kraus J.Hopt et als eds.)(Oxford University Press)
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