研究課題/領域番号 |
17530173
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
丸川 知雄 東京大学, 社会科学研究所, 助教授 (40334263)
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研究分担者 |
苑 志佳 立正大学, 経済学部, 教授 (00308123)
安本 雅則 青山学院大学, 経営学部, 助教授 (40293526)
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キーワード | 携帯電話端末 / 移動通信 / 製品開発 / 流通 / 中国 / 垂直分業 |
研究概要 |
1.研究の経緯 日本国内では平成17年6月から平成18年3月にかけて、月1〜2回のペースで、携帯電話端末の開発や製造に関わる端末メーカー、部品メーカー、開発企業、チップメーカー等を訪問調査した。また、17年9月末および、11月初旬にそれぞれ1週間程度中国の北京、上海、広州、深〓において、携帯電話端末メーカー、開発企業、流通業者等を訪問調査し、あわせで流通業者に関する小規模なアンケートを行った。また、研究プロジェクトのウェブサイトを構築し、研究活動の広報と暫定的成果の発表を行った。 2.得られた知見 中国では、端末メーカーが行うことは実際には端末の企画と販売だけで、開発・設計や生産管理の一部を専門の開発業者が担い、生産は専門のEMS(組立業者)が行い、さらに開発業者もチップメーカーが提供するプラットフォームと呼ばれる基本チップとソフトウェアのセットに依拠して開発し、チップメーカーのチップの中には特定分野を専門に開発する企業の成果が知的財産権(設計図)の提供という形で埋め込まれている。このように、垂直方向にきめ細かい分業が行われ、しかも分業の境目の変動も激しい。こうした携帯電話生産における分業は、日本における垂直統合型の生産、すなわちチップの開発、ソフト開発から組立までを総合電機メーカーが担う状況とは好対照を見せている。もっとも、日本でもチップ開発費の巨大化により、垂直分業が広まってきている。 日本では携帯電話の流通は通信会社が総卸となり、そのもとに系列化されているが、中国では通信会社経由の販売も一部あるとはいえ、主流は通信会社とは独立の自由な流通になっている。端末メーカーにとっては、有力な代理商を獲得するにせよ、自ら流通ネットワークを構築するにせよ、流通ルートの善し悪しが売れ行きを大いに左右する。流通は通信会社任せで、通信会社の提供するサービスが端末の売れ行きを決める重要な要素である日本とは大きく異なる。
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