研究課題/領域番号 |
17530173
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用経済学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
丸川 知雄 東京大学, 社会科学研究所, 助教授 (40334263)
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研究分担者 |
苑 志佳 立正大学, 経済学部, 教授 (00308123)
安本 雅則 青山学院大学, 経営学部, 助教授 (40293526)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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キーワード | 携帯電話端末 / 移動通信 / 製品開発 / 流通 / 中国 / 垂直分業 |
研究概要 |
日本と中国の携帯電話端末産業の構造は対照的であり、日中の産業構造全体の差異の縮図がそこに見える。中国の場合には、端末メーカーは企画と販売だけを担い、開発や設計は専門の開発業者に外注し、生産も専門のEMS(組立業者)が行い、さらに開発業者もICメーカーが提供するプラットフォームに依拠するなど、垂直方向に細かい分業が行われている。企業間の関係はオープンで、取引相手は頻繁に代わる。それに対して日本では、端末メーカーは特定の通信業者専用の端末を作っており、開発と製造は端末メーカーが垂直統合的に担っている。端末メーカーは部品やICメーカーに対して特注部品を発注することが多く、そのため取引関係は安定している。 こうした相違は、日本が通信業者が常に世界で最先端のサービスを展開するために必要な端末を開発しているのに対して、中国では先進国で成熟したサービスと端末を導入していることに由来する。日本では携帯端末はサービスから独立した商品としては存在せず、サービス+端末というパッケージを構成する部品にすぎない。一方、中国では携帯端末とサービスとは別個の商品として別々に流通している。両国の携帯電話端末産業のあり方は、メーカーにとってメリットとデメリットがある。日本の仕組みのなかでは、端末メーカーは製品開発に力を注ぐことができる。だが、日本で形成した能力は海外市場の開拓にはほとんど流用できない。日本の端末メーカーは消費者に直接販売する能力を形成しておらず、日本向けに開発した端末を海外で売ることもできない。一方、中国の端末メーカーは消費者に直接販売する経験を通じてマーケティングの能力を急速に高めた。だが、プラットフォームや部品がオープンに買える状況のなかで製品の同質化が著しく、ライバル企業が増加して利幅が薄くなっている。
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