平成17年度の研究課題は、中日国際産業連関表(以下、中日表)の開発と中日経済の相互依存の産業連関分析にあった。 17年度において、まず、中日表を推計するためのデータを整理し、2000年中日表の推計方法を検討した。ここでは、既存の経済統計データを中国と日本に関係する国際表、一国表を中心に整理し、解説し、中日表における共通部門分類を作成して、この共通部門分類をコンバータとして、中国と日本に関する国際表、一国表のデータを組み替え集計した。その上で1995年をベンチマークとして2000年中日表を推計する方法を検討して、この方法を用いて多種の産業連関表、経済統計データに基づいて2000年中日表の推計を試みた(研究発表1を参照)。 その後、新たに入手した統計資料などを用いて種々の改訂を行ったと同時に、1990-1995-2000年接続中日表を作成した。ここでは、異なる時点を接続する中日表を作成するために、2000年基準のインフレータを中国と日本についてそれぞれ作成して、これらのインフレータを用いて1990年、1995年の中日表の名目価額を実質化した。その上で、2000年基準の1995年中日表の実質額データをベンチマークとして200O年中日表を再推計して、異時点間の比較可能な時系列(1990-1995-2000年)中日表を作成した(研究発表2を参照)。 そして、本研究により開発したオリジナルなデータベースに基づき、中国と日本の経済構造の比較と相互依存関係の分析を行った。中日の経済構造の比較について、両国の経済規模と産業構造、国内・海外需要、中間投入・付加価値などの諸側面から中国と日本の特徴および近年の構造変化を明らかにしている。また、中日間の相互依存関係について、両国間の垂直・水平的分業構造、両国における生産、付加価値などの誘発効果を分析し、中日経済の相互依存関係の特徴および近年における変化などを明らかにしている(「中日間の経済構造の比較と相互依存関係の分析」の研究成果は『岡山大学経済学会雑誌』第38巻第2号、2006年6月に掲載予定)。
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