平成17年度は、研究代表者の退官・交替があったが、主に海外調査、及び国内の諸研究期間での聞き取り調査を通年に渡り繰り返し行うことで、データの整備・完成を得た。これは、新研究代表者(鈴木)が大学院修士課程より7年間に渡り継続研究している中国の計量経済学的分析において、全31省・直轄市・自治区の時系列データ(1978〜2004年、約300項目)であり、その詳細は都市・農村別、formal・informal部門別の(1)人口、(2)学歴水準、(3)人口移動、(4)労働力、(5)エネルギー使用量、(6)GDP、(7)資本ストック、(8)企業数、などである。 その前哨戦として、平成17年度は目本の地元愛知県の事例において、経済理論を応用し財政部門と人口老齢化のモデル化を行い、学会発表、及び地方政府への経済政策の提言を行い一定の成果を得た。現在、学会誌に投稿中であり、モデリングと成果は地元政府へ技術移転をしている最中である。 これまでの研究成果として、愛知県のモデル化では、少子高齢化が「三位一体改革」の下においても悪影響を及ぼし、近い将来財政収支・プライマリーバランスの赤字化を促すことが分かっている。また、中国のモデル化では、地域間格差の是正には、停滞する内陸部への海外投資が沿海部のその成長率を上回る必要性、及び内陸部特に農村部の教育水準の向上が必要不可欠である事が分かっている。 平成18年度はこうした既存研究成果を踏まえ、このデータベースと経済理論を応用して、全中国を都市・農村の二領域、formal・informalの二部門に分割した地域間格差・人口移動(一人っ子政策の意義を含む)・エネルギー問題のモデル化を行い、高度経済成長を続ける中国経済のエネルギー問題・地域間格差縮小の是非について解析・評価する。
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