研究課題
基盤研究(C)
「ガバナンス」の概念を、プレーヤー問、アクター問に存在する様々な外部性(externality)を内部化し解決する仕組みの総称と捉えるという共通理解の上に立ち、民間、政府、超国家の3領域での「分権vs.集権」の問題を詳細に分析し比較するのが本研究の目的である。まず、民間の企業統治問題では、「企業間の合併・統合」vs.「非統合」という「企業の境界問題」や企業内の「分権化・集権化」の問題について、「外部性の内部化」と「私的便益の考慮」のトレードオフに着目し、企業内「権限配分」の点も取り入れて比較理論分析を行った。「企業内の明示的+関係的契約」の論文では、プリンシパル=エージェント双方のモラルハザードの設定で、1回ゲーム、繰り返しゲームの分析を行い、企業統治への含意を提示した。また、ホールドアップの動学モデルを構築して単調性分析を行い、「契約の不完備性」の基礎付け等への新たな知見を得た。次に、「地方分権問題」を取り上げ、住民移動が存在する場合の地方自治体の費用削減のインセンティブについて理論分析をした。この場合、人口分布に過疎・過密地域が生じうるが、その際、費用削減のインセンティブが過密地域の自治体に必ず生じるとは限らないことが分かった。これは、過密地域では、費用削減により個人効用が上昇するために人口流入を招き、混雑現象を悪化させ、かえって余剰を引き下げる効果が強く働くことによる。このとき費用削減を強制すると人口分布の歪みを悪化させ、社会的余剰を悪化させることが分かった。最後に、超国家機構セクターでは、EU委員会を安定成長協定(SGP)の執行者とし、ユーロ加盟国を同協定の遵守者とする安定成長協定のガバナンス問題を考察した。2002年1月から03年11月の期間を中心に、ユーロ価値維持のために、欧州連合(EU)が安定成長協定を通じてユーロ圏の財政ガバナンスを図る過程を、政治的側面を中心に分析した。次に、フランスによる財政ルール違反に対し、欧州委員会の制裁を視野に入れた勧告が、財務相理事会での投票の結果、不採択となり挫折した過程を、「不完備情報下のコーディネーションゲーム」を援用して考察した。
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