研究課題
基盤研究(C)
平成17年度から平成19年度の3年間継続的に行ったスウェーデン、ノルウェー、デンマークの若年層向け労働市場政策に関する実態調査・研究から、すべての調査対象国で、「雇用補助金プログラム」が若年失業者対策として総合的に最も有効な政策であるという回答を得た。さらに、プログラムの効果、つまり、プログラムが若年失業者の雇用を後押ししているということが容易に確認できるという点から「雇用補助金プログラム」が政策担当者にも好まれている。本研究では、理論モデルを構築し、教育・訓練プログラム、雇用補助金プログラムのマクロ経済効果について一般均衡分析を行った。理論モデル分析では、両プログラムとも若年失業を減少させ、若年雇用を含めた社会全体の雇用の拡大を促すと結論付けている。また、スウェーデン、ノルウェー、デンマークの若年労働者向けプログラムに関する実証研究のサーベイを行い、多くの研究で雇用補助金プログラムが若年労働者の失業期間の短縮、就職へのスピードアップ、就職確率、プログラム終了後の所得等にプラスの効果を有していることを確認した。一方、教育・職業訓練プログラムについては、「封じ込め」効果(lock-in effect)もあり、必ずしも若年労働者の失業期間の短縮と就職へのスピードアップを促すものではない。但し、労働者のスキルアップを図る教育・職業訓練プログラムは長期的には若年失業者の労働市場における将来の見通しを明るくするものである。以上の研究結果を踏まえ、日本の若年雇用対策として雇用補助金プログラムを充実させることが最も有効であると考える。また、雇用補助金プログラムの有効性を補完し、その効果を高めるために教育・職業訓練プログラムによる若年労働者のスキルアップが欠かせない。つまり、本研究の結論は、雇用補助金プログラムと教育・職業訓練プログラムを組み合わせたプログラムを充実させることが日本の若年失業改善の政策として最も必要かつ有効であるということである。
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