研究概要 |
JEPXの一日前市場にSFEを適用するための理論的基礎を検討した。Klemperer & Meyer (1989)が導入した供給関数ナッシュ均衡解(Supply Function Equilibrium : SFE)は潜在的な市場支配力を評価する方法の一つである。Klemperer & Meyer (1989)は、需要関数およびコスト関数がそれぞれ二階微分可能であることを仮定したうえで、SFEを導いた。しかし、現実の電力市場をより正確に再現しようとした時、コスト関数や総需要曲線が区分的に滑らか(piecewise smooth)であることしか想定できないことがしばしば起こる(Baldick, Grant, and Kahn (2004)等を参照)。 そこで、本研究では、コスト関数や総需要曲線が区分的に滑らかである場合にSFEが満たす方程式(必要条件)を導出した。Klemperer & Meyer (1989)によると、コスト関数が二階微分可能であり、更にconcaveであれば、価格を変数として単調増加なSFEが存在する。しかし、コスト関数や需要関数が区分的に滑らかであることしか想定できない場合、単調増加なSFEが常に存在するとは限らないことが判明した。新しい仮定のもとで単調増加なSFEが存在するための条件も本研究では検討している。
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