研究概要 |
わが国のJEPXを含む先進諸国(ドイツ、フランス、ベルギー、イタリア、オーストリア、オーストラリア)の電力スポット市場における価格変動を標準的なジャンプ平均回帰方程式(Jump-Diffusion Process)で表示した。推定方法は最尤法によった。ジャンプ平均回帰方程式のパラメータ値の推定結果から、上記の電力スポット市場群は価格スパイクリスクが比較的に大きい市場と小さい市場に分類された。わが国のJEPXは後者に属する。現段階では、価格スパイクリスクが大小に分かれる市場構造的な背景要因は十分に明らかになっていない。 なお、この分析を通じて、標準的なジャンプ平均回帰方程式を電力価格変動に適用すると、peak時間帯の価格回帰水準がdaytime時間帯のそれよりも低く推定されることが多いという欠点があることがわかった。この現象には、同方程式を用いるとジャンプ頻度が高く推定されること(Clewlow & Strickland, 2000)が大きく影響していると考えられる(一日に約一度以上の頻度でジャンプが起こると推定される場合が殆どである)。電力スポット価格変動を対象とした適合度の高いモデルは現在も模索されている段階であるが、ジャンプ頻度にロジスティック回帰を繰りこむことにより、適合度がやや改善されることがわかった。
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