研究課題
1.研究課題のテーマのうち中国・韓国・日本間の越境汚染のモデル分析については、17年度は、SO2に関して、主として中国の地域間越境汚染モデルの構築と、地域別削減コストの推定、排出権取引市場を通じての汚染削減を行う場合の、地域別排出権売買量、排出権価格、削減コストの減少という面から捉えた排出権取引による便益の計測を行った。地域別汚染削減コストの平均値は、0.68万元/SO2トン、排出権価格は0.15〜0.27万元/SO2トン、排出権取引の便益は、118〜144億元という試算結果を得た。詳細な分析結果の発表は、2006年度の学会報告(環境経済・政策学会など)で行う予定である。2.関連して、中国の地域別のSO2およびNOX汚染量の推定と、これら大気汚染発生の要因分解を通じて地域別の特性を導出した。その結果、経済成長要因が汚染の増大を、省エネ技術など技術要因が、汚染削減をもたらしていることを明らかにした。成果の一部(1995-99年)については、論文発表した。3.中国のグリーンGDPの計測については、その計測技法の検討と、実際の計測値を試算した。採られる計算方法により、帰属環境費用の値が異なるが、2000年の推計値で見て帰属環境費用は3551億元となる場合と9589億元となる場合の2つが得られた。したがって、中国のグリーンGDPは71312億元と65274億元となるという2つの試算結果を得た。詳細は、研究協力者の増田信彦氏が学会報告をおこなった。4.国際排出権取引を導入した場合における国際資金循環を考察するための準備作業として、アジアの資金循環に関する理論的枠組みと実証研究を行い、論文発表を行った。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (4件)
統計研究 No.173
ページ: 3-15
Quantitative Economic Analysis, International Trade and Finance(Kyushu Univ.Press)
ページ: 93-107
環境経済・政策学会2005年度大会報告論文
ページ: 16
Quantitative Economic Analysis, International Trade and Finance (Kyushu Univ.Press)
ページ: 175-187