研究概要 |
1.平成17年度当初の研究計画とその達成度合 ・平成17年度の当初研究予定は、在宅健康管理システムの自治体による導入済事例二例の調査、便益評価と便益費用比較分析、および研究成果の発表であった。 導入済事例二例の調査対象自治体、および平成18年度調査予定の導入事前調査の対象自治体の選択のため検討、分析を行った。現在も継続中であるが、受入れ可能であると同時に適当な調査規模となる自治体を確定できる段階に達していない。この作業を継続する一方で、われわれが同研究目的の下ですでに行っていた調査で得ていたデータの分析、考察を進め、一連の成果を得、内外の学会で口頭発表あるいは学会誌への論文発表を行った。それらは研究発表、雑誌論文欄に示すとおりである。その主要成果の概要は次のとおりである。 2.平成17年研究実績、その成果の概要 在宅健康管理システムを導入、運営している五つの自治体個々に対し、CVMによる便益評価をすでに行っており、住民利用者1人1ヶ月当たりのWTP値(支払意思額)の推定を行っていた。これらは五つの自治体それぞれの個別の推定であったが、平成17年度の研究においてはこれら五自治体のデータをプーリングし、五自治体の全データを一つのサンプルとしたWTP値の推定を行い、これらにもとづく在宅健康管理システムの全国年間総便益の推定を行った。プーリング・データからのWTP値の推定にはカーネル密度推定を用い、1人1ヶ月WTP値2,702円を得た。これとJAHIS(保健医療福祉情報システム工業会)の調べによる全国の同システム利用者数22,579人(平成17年3月現在)をもとに、全国の在宅健康管理システムの年間総便益として7億3,200万7,600円を推計した。さらに同システムの潜在的利用者を勘案した場合の全国年間総便益の暫定的推定値として375億円を得ている。
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