この研究は、複数均衡を持つ可能性のある動学的一般均衡モデルにおける経済政策を、現実的な問題の枠組みの中で実証的・規範的に分析することによって、具体的な経済政策の提言を試みるものである。(平成17年度研究計画調書「研究目的」参照。)2年計画の最終年度である平成18年度では、以下のような研究成果が得られた。 1.「公的債務問題に見る政府の役割の再検討」:この研究では公的債務の経済効果を実証的・規範的に分析することによって、我国における公的債務肥大化の原因とその意味、および今後政府がとるべき指針について考察した。(コンファレンス「日本経済はどのように機能しているか」において報告。2006年9月24〜25日、兵庫県淡路島。)(橘木俊詔編「日本経済の実証分析-失われた10年を乗り越えて」、第4章として発表。東洋経済新報社、2007年3月。) 2.「公的医療制度改革の経済厚生効果」:この研究では公的医療制度改革の経済厚生効果を分析する方法を提案し、その応用例として2003年4月に実施された公的医療制度改革を分析した。(熊本学園大学産業経営研究所セミナーにおいて報告。2007年3月12日。)(「京都大学経済論叢第179巻第3号に掲載予定。2007年3月。」 3.「公共財需要過大予測問題」:この研究では政府と企業が公共財供給契約を締結する際に、家計による公共財需要が確率的に変動し、その実現値が企業の私的情報である場合、どのような資源配分および厚生水準が実現するのかについて分析した。(「広島大学経済論叢第30巻第3号、2007年3月、13-25ページとして掲載。」
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