本年度は、地場サプライヤーのものづくり能力の現状を、品質、納期、コスト、エンジニアリング(QCDE)のパフォーマンス、従業員個人レベルおよび企業レベルの能力水準(特定の生産管理手法の習得(個人レベル)、採用(企業レベル)など)の両面から把握することを目的として研究を行った。具体的には、以下の項目について順次作業を進めた。 1)先行研究のレビューと基本的課題の整理、分析視点の整理 2)個別テーマの分析枠組みの決定と統合的分析枠組みの構築と共通概念の確立 ものづくり能力開発についての包括的・戦略的な視点から、比較的独立した課題と捉えられてきたQCDとEに関する能力開発を、QCDがEの基盤となるという段階的な把握に基づいて分析することにした。 3)国内ヒアリング調査と関連データの収集と分析 4)現地アンケート調査パイロットスタディの実施 タイ駐在経験者への国内ヒアリング調査などに基づいて、現地アンケート調査の調査票案を作成した。2005年8月から9月にかけ、この調査票案を用いてパイロットスタディを実施し、地場および日系自動車部品メーカー10社、日本人専門家を含む現地政府機関などの関係者にヒアリングを行った。結果を踏まえて、質問票の構成・内容を修正した。 5)現地ヒアリング調査の実施 2005年9月、現地でのヒアリング調査を実施し、日タイの官民で進めている自動車産業能力開発プログラムの準備状況についての情報を得た。 6)現地アンケート調査の実施方法・対象・調査項目の検討および調査の実施 7)ものづくり能力開発のパフォーマンス指標と能力指標についての有用性と問題点の検討 2006年1月から2月にかけて、アンケートの配布と回収を現地研究協力者に依頼して行った。400社に送付し、30社から回答を得た。この結果、パフォーマンスと能力の両面から見た自動車部品メーカーの能力形成の状況を把握することができた。
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