研究課題
基盤研究(C)
本研究では東南アジア域内の生産・輸出拠点化が進むタイ自動車産業を事例として、地場サプライヤーのものづくり能力の現状を把握し、そのうえで、企業・業界・国家レベルの対策・政策の内容を検討評価した。具体的には以下の手順で研究を進めた。基本的課題・分析視点の整理を踏まえて、ものづくり能力開発についての包括的な視点から、比較的独立した課題と捉えられてきた品質・コスト・納期(QCD)とエンジニアリング(E)に関する能力開発を、QCDがEの基盤となるという段階的な把握に基づいて分析することにした。また、タイ駐在経験者への国内ヒアリング調査などに基づき、現地アンケート調査の調査票案を作成した。2005年8月から9月にかけ、この調査票案を用いてパイロットスタディを実施し、地場および目系自動車部品メーカー、日本人専門家を含む現地政府機関などの関係者にヒアリングを行った。質問票の内容を修正したうえで、2006年1月から2月にかけ、アンケートの配布と回収を行った。この結果、パフォーマンスと能力の両面から見た自動車部品メーカーの能力形成の状況を把握することができた。平成18年8月及び平成19年3月には、現地ヒアリング調査を実施して具体的な事例の分析を深め、企業・産業レベルのものづくり能力開発を分析した。その結果、QCDがEの基盤となるという段階と把握できることを明らかにした。さらに、同時期に実施した現地調査では、日タイの官民で進めているタイ国自動車産業人材育成プログラム(TAHRDP)の実施状況について、研修現場での調査を含む関係者へのヒアリングを実施した。ここでも、個人・職場・企業レベルでQCDとEを段階的かつ包括的に形成するカリキュラムが実施されていることが確認できた。同プログラムは、タイで実施されている他のプログラムと比較してものづくり能力開発をより包括的に捉えている点で評価できた。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (10件)
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