研究課題
基盤研究(C)
本研究は、経済体制の諸類型を、主として中国の体制移行に焦点をあて、そして中東欧およびロシアを比較対照しながら分析をすすめたものである。本研究をつうじて明らかになった諸点特に中東欧やロシアと比較して特徴的な諸点は、(1)中国全体でみても、とりわけ長江デルタ地域の上海、浙江省、江蘇省に焦点をあててみても、そこに強い「経路依存性」が認められること、(2)中国の全体ならびに地域モデルに特徴的なのは、「華人ネットワーク」の存在が認められるということ、ただし、(3)強い「経路依存性」の存在は強い「内向性」の存在を意味しており、それは諸外国・外部諸地域との連携に際して大きな阻害要因となることを意味する。本研究では、そのことを直接投資を事例として示すことにつとめた。そして、いうまでもなく、(4)「新制度論」の視点からみると、「経路依存性」から脱却するためには、「内向性」から「外向性」への転換が不可欠であることが示される。そして(5)中国の経済モデル、政治モデルを検討してみると、「市場の失敗」と「政府の失敗」との複雑な関わりが観察されること、そして「権威主義開発体制」の変容のロジックが認められることがわかる。さらに本研究では、中国の経済、政治、そして中国の人々の行動を捉えることに主たる関心をおかれてすすめられた。そして、進化ゲームの理論を使って試みてみると、中国の先物市場参加者の行動は、今日「行動ファイナンス」として確立されている考え方と整合的であること、また同時にごく効率的に行われていることが示される。そうした枠組みおよびロシア・中東欧との比較という視点からながめてみると、中国の市場経済化は、大きくすすんでいるものと考えられる。
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