本年度は、山崎朗編『グローバル時代のクラスター戦略:東アジア半導体クラスターの競争・連携・融合(仮題)』中央経済社、2008年6月の出版に向けて、共同研究会を3回実施し、原稿の取りまとめ作業を行った。序章「クラスターの進化と変質」および終章「東アジア半導体クラスターの競争・連携・融合(仮題)」について執筆した。 また、科学技術振興機構および文部科学省、内閣府と共同して、地域科学技術政策のあり方についての検討や知的クラスター計画の評価作業にも参加し、研究と政策とのクロスオーバーを行った。 国内外の多くの研究は、特定地域の産業クラスターについての分析にとどまっているが、グローバリゼーションの進展する時代にあっては、特定地域への関連産業、研究期間の集積状況のみを調べたとしても、地域クラスターの問題点、競争優位の条件を明らかにすることは、難しくなっている。とくに、半導体産業は、関連産業との技術開発の擦り合わせの側面が上昇してきており、関連産業を含めてイノベーションの動向を分析する必要があると同時に、韓国、台湾、中国の半導体産業の独自の発展経路に対応して、日本の半導体クラスターは、新しい戦略を模索する必要性が高まっている。東アジア半導体クラスターは、素材、装置の共通化、日本の技術者の移動による技術移転の促進により、技術親和性を有するようになっている。中国については、産業レベルとしては、いまだ低いレベルにとどまっているが、半導体のマーケットとしては、世界最大となりつつあり、日本、韓国、台湾の半導体企業は、中国マーケットに向けて製品を供給するようになっている。
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