研究概要 |
平成18年度においては、平成17年度に引き続き、経済産業研究所と共同でJIP2006データベースの作成を実施し、データベースを完成させた。作成されたデータベースに関する解説を乾、中西も参加しFukao, et al..(2006)として公表した。当該年度は規制が生産性に与える効果に加えて、様々の側面から生産性の決定要因について分析を加えた。 規制がTFP上昇率に与える要因として、規制指標以外に,R&D集約度,IT資本比率といった説明変数を加えて産業横断的な分析を行った。またTFP上昇率以外にも,生産額の上昇率についても同時に分析を行った。その結果主に非製造業において、規制緩和の進展は、TFP及び生産額の上昇率の両者に有意にプラスの影響を与えていることが判明した。 JIP200を使用して、乾・松田(2006)では、産業別のマークアップ率とその変動を計算し、規制指標に代表される市場の競争条件との関係について実証分析を行った。この結果、規制の程度が弱い等市場が競争的である方が、マークアップ率が景気に対して順循環的な傾向があることが判明した。 グローバル化の効果についても研究し、Hijzen, Inui and Todo(2006)による2つの論文において、日本企業のFDIやアウトソーシングを通じたグローバル化は企業の国内活動(生産性、雇用等)にプラスの影響を与えることが判明した。 日中韓の上揚企業のTFPに関して国際比較をする研究を実施し、アジア上場企業データベース2007を作成した。当該データベースの作成方法についての詳細を深尾、乾他(2006)として公表している。また中西(2006a)、(2006b)で潜在成長率に影響を与える生産関数の生産要素だけでなく、他にも生産に影響を与える要素いわゆるヘドニックファクターの重要性を指摘し、理論的に完全競争と不完全競争について整理し実証分析を試行した。
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