研究計画に沿い、フィールド調査の実施、データ入力・分析、論文執筆を行った。 調査の目的は、インド労働市場の柔軟化の実態を労働者調査によって明らかにすることであった。調査方法は次のとおりである。調査対象はアフマダーバードで1991年と98年に調査した(1)(もと)工場労働者と、(2)その子弟(男性の場合は勤労者、女性の場合は勤労者または既婚者)、また実施時期・期間は、8月から9月初頭にかけての約40日間であった。(1)(2)用に2種類の調査票をグジャラート語で準備し、戸別訪問により面接調査を行った。現地採用の調査員数名と研究代表者とで手分けし、約240件のインタビューを実施した。多雨による道路・住居の冠水、伝染性の病気の大流行など、調査環境は極めて厳しいものであったが、予定していた調査は基本的に完了することができた。 調査データの入力についてもほぼ終了した。上記(1)のデータのみ分析が一応終了し、中間報告書(英文)の執筆を進めた。工場の閉鎖・人員整理により多くの労働者が下向移動し、安定雇用への再就職が極めて困難なこと、さらなる貧困化リスクへの家族レベルでの対応等、さまざまな実態が明らかになった。本論文は、何らかの形で早いうちに公表したいと考えている。 また19年度には、アフマダーバードの新興工業地域で改めて工場労働者調査を実施する予定であり、上記調査と並行してその準備作業も進めた。調査アシスタントの確保等は進んでいるが、調査協力工場の確定は難航している。同作業は、資料収集のため19年3月に現地を訪問した折りにも続行して行った。
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