研究課題
本研究は、経済安定化政策を最適安定化政策とフィリップス型フィードバック制御政策と定義し、その動学構造決定と政策シミュレーションによって行うことを目的とした。また、その際に、数量化が困難な場合に、工学系で用いられているファジィ制御とニューラルネットワーク・アルゴリズムを利用し、この二つを融合させてその政策的効果を測るものである。今回そのために市販の統計・計量ソフトを使い、それらがどのようにこの研究目的に使用できるか確認した。それによると、ほとんどのパッケージは、数式で表現された構造方程式の推定や政策シミュレーションには適用可能であったが、ファジィ制御やニューラルネットワーク・アルゴリズム使用には不向きであった。ソフトウェア、MATLABだけはファジィ制御が組み込めるようなシステムになっており、これは経済安定化政策にも使用可能であった。特に、フィリップス型PIDフィードバック制御政策には、ファジィ制御の欠点を補う安定化政策として有効なことがわかった。また、従来、安定化政策は、制約式が非線形であると、その数値的制御が困難であったが、それがこのニューロ・ファジィ・アプローチで非線形制約式、さらに言うと、政策的言語関係であっても可能であることがわかったということは大きな成果であった。また、パッケージの中でも、メニュー方式よりもプログラミング言語方式のほうが、政策定式化が容易で、汎用性があることがわかった。今後の課題として、フィリップス型フィードバック制御政策への応用に対してニューロ・ファジィ・政策アプローチが、様々な計量計算ソフトの違いによって、どのくらい有効であるか検討の余地がある。また、大規模システムの経済・経営予測や制御に、実際の大規模計量モデルを作成して、このアプローチがどのくらい有効であるか検討することが残されている。
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大阪経大論集 56・1(掲載予定)
Advance in Decision Technology and Intelligent Information Systems edited K.J Engemann and G.E.Lasker, The International Institute for Advanced Studies in Systems Research and Cybernetics Vol.VII
ページ: 6-11