研究課題
基盤研究(C)
本研究では、アメリカ連邦準備制度の生成過程を、1「秩序管理」の視角から、そして2歴史的・実証的および思想史的・理論的に、考察した。1の「秩序管理」は「貨幣秩序の管理」と「信用秩序の管理」に区分され、片桐は前者の「貨幣秩序の管理」を、大森は「信用秩序の管理」を担当した。「貨幣秩序の管理」の視角からは、より安定的な貨幣制度の模索、すなわち金本位制の成立から、中央銀行である連邦準備制度の成立、の必然性を解くことを目指した。また「信用秩序の管理」の視角からは、既に連邦準備制度の成立以前に、無限に膨張した債権・債務関係のネットワークがシステミック・リスクをはらみ、その顕現化を防ぐメカニズムが萌芽的に形成されていたことを明らかにした。より具体的には、片桐は「貨幣秩序の管理」の視角から、アメリカにおける金本位制の成立を思想史的・論理的に考察した。19世紀アメリカの、金本位制か、複本位制か、銀本位制か、という貨幣制度を巡る論争を貨幣論的見地から考察した。更に中央銀行の金融政策に関する古典的議論である「ルールか、裁量か」という問題に関して、通貨論争におけるJ.E.ケアンズの見解を考察し、彼が銀行学派に属すことを明らかにした。大森は、「信用秩序の管理」の視角から、連邦準備制度の源流に関して、アメリカ中西部のインディアナ州の銀行制度の自生性を重視し、考察した。黎明期インディアナ州の銀行制度の成立と概要を分析したうえで、当時のインディアナ州の銀行制度が財政と金融を絡めた銀行間組織であり、中央銀行の本質である「半官半民」の生成にとって特徴的な性格を自発的に内生していたことを明らかにした。
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すべて 雑誌論文 (6件)
『和歌山大学経済学会 経済理論』 345号
ページ: 1-28
The Wakayama Economic Review 344
柴田徳太郎編『制度と組織 理論・歴史・現状2』
ページ: 81-114
Seido to Sosiki(edited by Shibata, Tokutaro)
『和歌山大学経済学会 経済理論』 322号
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The Wakayama Economic Review 332