平成18年度における研究成果は下記の2本の論文である。 (論文1)ゼロ金利下における金融政策のアナウンスメント効果-金融政策当局による政策金利変更効果と声明効果- [広島大学経済論叢、第30巻第1号、11-24ページ、2006年7月] 本稿の目的は、公衆の政策期待を変化させるのに日銀の声明が有効であったかどうかをイベント・スタディを用いて検証するものである。本稿で得られた結論として、第1に、本稿の標本期間において、1年先から4年先の政策期待を変化させるのに日銀の声明が有効であったという証拠はあまりない。第2に、ゼロ金利下においても、金融政策に関する声明と5年先・7年先の政策期待との間に統計的に有意な関係を見出すことができた。第3に、本稿の結果は、国債価格が量的緩和や国債購入目標に反応するという見解をとりあえず支持する。第4に、この標本期間において、日銀の声明により株価が変化したという明確な証拠はない。また、本研究について第4回Modern Monetary Economics Summer Institute in Kobe(2006年8月26-27日)で報告を行った。 (論文2)Inflation History and the Sacrifice Ratio : Episode-Specific Evidence(共著)[投稿中] 本研究は、期待インフレ率(およびトレンド・インフレ)とニューケインジアン型フィリップス曲線との間の関係を、事例ベースで検証するものである。
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