当該研究期間における研究成果は下記の4本の論文である。以下に、各論文の表題と抄録を記す。 (論文1)Determining Output and Inflation Variability with Forward-Looking and Open-Economy Models 本稿の目的は、インフレ変動や産出変動の決定因を実証的に明らかにすることである。本稿では、forward-lookingなモデルや開放経済モデルを用いて分析を行った。 (論文2)ゼロ金利下における金融政策のアナウンスメント効果-金融政策当局による政策金利変更効果と声明効果- 本稿の目的は、公衆の政策期待を変化させるのに日銀の声明が有効であったかどうかをイベント・スタディを用いて検証するものである。本稿で得られた結論として、第1に、本稿の標本期間において、1年先から4年先の政策期待を変化させるのに日銀の声明が有効であったという証拠はあまりない。第2に、ゼロ金利下においても、金融政策に関する声明と5年先・7年先の政策期待との間に統計的に有意な関係を見出すことができた。第3に、本稿の結果は、国債価格が量的緩和や国債購入目標に反応するという見解をとりあえず支持する。第4に、この標本期間において、日銀の声明により株価が変化したという明確な証拠はない。 (論文3)フィリップス曲線の傾きはなだらかになったか:展望 (論文4)Inflation History and the Sacrifice Ratio : Episode-Specific Evidence(共著) 本研究は、期待インフレ率(およびトレンド・インフレ)とニューケインジアン型フィリップス曲線との間の関係を、事例ベースで検証するものである。
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