研究概要 |
本研究の目的は、「平成の大合併」を中心に、わが国の市町村合併を歴史軸から時間的に、また地域軸から空間的に比較研究することによって、道州制を含む、今後のあるべき国一地方の政府間関係のあり方について追究することにある。 本年度の研究実績は、以下の通りである。 (1)平成の大合併の特筆すべき特徴の1つである、合併した市域内での都市内分権制度と地域自治制度及び住民自治との関係について、合併タイプの異なる宮崎県宮崎市、岐阜県恵那市、愛知県豊田市、静岡県浜松市について、行政の合併担当部局より聞取り調査と資料収集を行った。 (2)上記の調査の際行政当局や機関だけでなく、市民組織や自治会,NPOなど、地域の住民自治を底辺で支える組織や個人からの情報や資料の収集をも特に重視し、客観的かつ多面的な検証となるよう配慮した。 (3)また、合併市町村の周辺に位置しながら、現実には合併を選択しなかった市町村の非合併要因、合併しない選択に関する行政と住民との対応の差、非合併後の域内自治と自治組織の再構築の実態についても、比較分析の視点から、調査研究の範囲を拡充した。 (4)それぞれの県・市町村・団体・個人等から収集した資料、情報についてデータ・ベース化し、今後の分析に役立てるとともに、HPで公開する準備をしている。 (5)以上の成果の一部は、日本地方自治学会などの学会報告、愛知県内の合併志向の市町村での公開講演会のほか、愛知大学中部地方産業研究所のワーキングペーパーシリーズとして公表している。
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