研究概要 |
初年度における研究の到達目標は,(1)電力債・金融債・普通社債などの債券についての気配値,市場価格,格付け,買入消却等のデータを入手しデータベースを構築して分析の準備を行う,(2)在庫モデルを前提としたシミュレーションの準備を行う,(3)投資家行動については行動ファイナンスの理論によるアプローチの適用の可否について理論的な整理を行う,ことであった。その他,実務的な問題について,既存の書物では市場の実態について十分に捉えられない部分があるため,必要に応じて(4)実務家へのヒアリングを行うことを計画していた。 今年度の研究の進展状況は計画よりも多少遅れている。17年度10月頃から始めた(1)のデータベースの構築に関しては,価格,格付け,社債の概要などのデータの識別番号の方式が異なるため統合作業に多くの時間を使っており,まだかなりの時間が必要である。(2)に関しては理論的な整理は進んでいるが,シミュレーションを行うためのプログラム作成は次年度の作業となる。(3)については文献にあたるとともに,投資家行動について行動ファイナンス理論の適用可否を探るために継続的に行っている調査に関して,日本シミュレーション&ゲーミング学会で発表を行った。これが今年度唯一の研究発表である。(4)のヒアリングについては,データベースの構築,すなわち社債発行企業の行動や,マーケットにおけるプレーヤーの行動の把握や分析が遅れていることもありまだ実施していない。
|