この研究は、公募債券市場(私募債以外の債券市場)を対象に、マーケットメーカーと投資家の行動・発行体の行動を明らかにすることを目的としている。分析によって、(1) 主幹事が大手証券会社か否か、主幹事のシェアが高いか否かによってマーケットメーカーとしての行動に大きな差はないが、(2) 引き受け会社数が多いほうが社債の良好な評価につながり、主幹事シェアが高い社債はスプレッドが拡大する傾向があることがわかった。これは、少数のマーケットメーカーしか存在しない場合、競争が働かないもしくは、マーケットメイクの負担が大きい可能性がある。また、発行体はスプレッドが拡大し社債の価格が低下したときに社債の買入消却を行う傾向があり、合理的な行動が見られた。
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