平成18年度における研究成果に関しては、次の3点があげられる。すなわち、1)欧米の研究者との意見交換、2)ユーロ圏でのインフレ格差の実証的研究、3)ユーロ圏での景気循環の同調性に関する実証研究4)ユーロ各国の自然利子率の推定のためのパイロット的研究である。1)に関しては、ベルギー・ブリュッセル、ドイツ・ミュンヘンの出張により、CESifo研究所、ならびに欧州委員会のコンファレンスに参加し、現在の経済政策に関する考え方と欧州経済の現状に関する意見交換を行った。それにより、実証モデルの構築ならびにユーロ圏での金融・財政政策の最適な枠組みを、具体的に提言する際の現状の把握や問題点を明らかにすることができた。 2)に関しては、インフレ格差の要因を各国別に実証した。これは既に関西大学商学論集に掲載済みである。また、3)に関しては、ユーロ各国の景気循環を鉱工業生産指数によって実証した。ただし、短期的な循環と構造的な循環を区別するためにChristiano-Fitzgerald Asymmetricフィルターをかけて推定している。この研究はWestern Economic Association International 2006で発表し、本学部発行のKansai University of Business and Commerceに掲載した。 4)に関してはユーロ各国の自然利子率を検証するためのいくつかの手法を検討するために、パイロット的な研究を行っている。来年度には、論文として公表できる予定である。 本年度の研究では、以上のような研究成果をあげることができた。
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