研究課題
基盤研究(C)
本研究では、少子高齢社会における個人の金融行動を分析し、以下の結果を得た。1.家計の年収階級別の相対的危険回避度による検証からは、年収が多い階級ほど危険資産選好が強いこと、住宅ローン利用者のデータの分析からは、年収が多い階級ほど住宅ローン返済負担率が低いとの結果を得た。住宅ローンという住宅保有のため負債をもった世帯は、年収の多い世帯ほど負債返済のための負担が小さく、負債返済の負担が小さい年収の多い世帯ほど危険資産選好が強くなると考えられる。2.金融資産のもつ特性に注目したモデルを応用した金融資産選択の特性モデルによる個人の金融資産需要の検証からは、日本の家計の金融資産選択行動の説明要因として、安全性、収益性という特性以外に、金融資産のもつ市場性(多様な金融資産からの選択肢の拡大を示す特性)と解釈される特性が考えられることがわかった。とくに、1980年代前半の期間では、安全性からこの特性へと、特性に対する需要が変化していた。3.リバース・モーゲジが生涯所得・生涯収支といったライフサイクルに与える影響を分析するため、老後のライフスタイルに関するアンケート調査によりリバース・モーゲジの需要動向を検証したところ、女性層、若年層、低資産保有層でリバース・モーゲジの需要が高いことが確認された。また、老後に現在の住宅資産を売却ないし賃貸にして土地を活用したい層で、リバース・モーゲジ需要が高かった。さらに、個人の負債行動という観点から住宅ローン保有者の特性を分析すると、住宅ローン保有は、所得にプラス、金融資産にマイナスの関係が有意にみられた。後者は住宅資産を購入する際の頭金や住宅ローンという負債の保有により金融資産を保有していないと考えられる。また、安全性、安定性重視の価値観とプラスの関係があり、住宅保有を安定性と解釈すれば妥当な結果が得られた。
すべて 2007 2006
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社会イノベーション研究(成城大学) 第2巻第2号
ページ: 1-19
Seijo University, Social Innovation Studies Vol.2, No.1
住宅・金融フォーラム 第2号
ページ: 34-55
社会イノベーション研究(成城大学) 第2巻第1号
ページ: 87-105
Jutaku ICinyu Forum No.2
Seijo University, Social innovation studies Vol.2, No.1