研究課題
本年度の実績は、資料収集の完結と研究発表である。第1に研究発表としては、方法論面でファインステイン&ディグビィ『社会史と経済史の新地平』の翻訳と校正を終え、「組織史」「比較史」の基盤となる展望を提示した。第2に「フランス経済団体の組織史」の実証面では、2本の論文を執筆した。労働団体では"Origines du pluralisme des relations sociales en France"を海外誌に投稿し修正要求付掲載許可を得た。第3に経営者団体では、「経営者団体の誕生と構造変化--フランス土木業者組合の組織史(1882-1900年)--」を脱稿し国内誌に投稿した。第4に応用面では、「北大はグローバリズムを超える」と「教育の機会平等が崩れる」を通じて「比較史的検討」の視座を一般的に提示した。第5に「フランス型グローバリゼーション」の資料収集としては、旧フランス植民地商工会議所史の空白部を埋めた。90年代のテロで入国困難だったアルジェリアでは、国立文書館および商工会議所の調査を成功させた。とくに後者では特別許可を得て、半世紀分の議事録を約4千枚、完全複写した。第6にベトナム国立文書館では、5年来2回の訪問交渉の末、ハノイ分館とホーチミン分館で商工会議所文書の閲覧制限を解除し、とくに前者では現地文書目録を譲り受けた。加えてベトナム商工会議所では、社会主義以前の唯一の生き残りであるホーチミン支部副会頭に仏語インタビューを実現した。第7にフランスの海外領土文書館とマルセイユ商工会議所で、宗主国側文書を補充した。以上をもって、8カ国、13国立文書館、10商工会議所の訪問調査を完結した。旧植民地の商工会議所は、社会主義時代に自由主義的経済活動の記憶を遺棄したため、失われた文書の国境を越えた発掘と互酬的な共有は、歴史家はもちろん、当事者にとっても類例のない貢献として歓迎された。
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Histoire Economie et Societe (修正要求付掲載許可)
Discussion Paper (Graduate School of Economics and Business Administration, Hokkaido University) Series A, No. 2006-180
ページ: 1-47
Discussion Paper(北海道大学大学院経済学研究科) Series B No. 2006-65
ページ: 1-30
リテラ・ポプリ 28
ページ: 4-12
しゃりばり 294
ページ: 8-19