1、1950年代に推進された「農業の集団化」の過程における水利灌概事業に関する先行研究を、東洋文庫等で収集した。 2、河北省および山西省の地方志から、1950年代から現代に至る水利灌概システムに関するデータを抽出して、黄河下流域での水利政策および「水利共同体」の実態像を検討し、農業の集団化過程における水利政策の重要性が確認された。 3、満鉄調査部を中心とする、戦前期の日本側調査機関による華北農村調査において、水利灌概システムの検討対象とされた農村が所属した河北省〓台市および山西省臨汾市で、当該地の水利灌概システムの歴史的変遷状況について、関係者へのインタビューを含めて関連資料を収集し、併せて近年の改革開放政策の下で、改めて伝統的結合論理として宗族的結合と地縁的結合の重要性が、地域住民に認識されていることが理解できた 4、なお2006年8月の中国での現地調査では、水利関係の碑文を多く収集している山西師範大学戯曲文物研究所、および1950年代の農村レベルでの水利灌概政策の実態を物語る一次資料を収集している山西大学中国社会史研究中心のスタッフの協力を得たおかげで、都市近郊農村のみならず山間部地域の農村における水利の現状も含めて、当初の計画通りの調査ができた。
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