本課題研究の目的は、変動相場制の成立過程を、国際金融機関の役割と国際金融市場の機能との関連であきらかにすることである。具体的には、(1)変動相場制の成立過程における米・欧・日の三極における立体的な利害配置をあきらかにして、(2)同時代における「固定相場制維持論」など、政策選択上のオルタナティブを理論的・歴史的に検証する、さらに(3)これらの歴史的選択の「場」となった国際金融機関・国際金融市場について、その実態を一次資料から再構成する。 今年度は、3カ年の研究期間の最終年度にあたり、上記の研究目的の成果を総括した。具体的な成果は以下のとおりである。 (1)これまで蒐集した資料をもとに、研究報告書の最終稿を確定した。とりわけ、変動相場制の成立過程における資本移動規制の解除、およびケインズ・ヴィクセル学説の理論的展開を焦点にすえた。 (2)フランス銀行主催のシンポジウムにて、変動相場制期の日本銀行とフランス銀行の戦略を対比した研究をフランス語で発表した。 (3)日本銀行の国際担当理事・幹部経験者2名にインタビューをおこなった。 (4)本研究に関連の深い文献1点について、学会誌に書評を発表した。
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