研究課題
基盤研究(C)
本研究は総合商社三井物産の補助業務に関する実証研究である。その補助業務は本来の商社業務にとって不可欠であるにもかかわらず、従来その実態は不問のままであった。総合商社論においても、補助業務の実態を確認せぬままに総合商社化の議論が行われてきたのは妥当ではない。本研究はその欠落を埋める意義を担うものであった。すなわち、補助部門として金融、外国為替、保険、運輸、受渡の諸部門を取り上げ、それらが商社活動に果たした役割・実績を解明した。三井物産は多角経営の大規模商社であるだけに、補助部門も大規模であり、営業部門の活動を支えたことはもちろんであったが、単なる支援にとどまらず、それ自体が営業活動を営み、独立の部門になる場合があった。保険部門における損保会社=大正海上火災の設立、運輸部門における三井船舶の設立、受渡部門における埠頭会社の設立などである。いわば大規模であるが故の、内部化の問題を解明した。財務部門では資金調達、その資金の営業部門への配分、すなわち資金統括機能を果たし、営業部門に対し取引先への貸付、株式保有を通じての支援、営業設備(不動産や船舶など)の投下による支援、さらには入札や契約における保証金代用の証券を貸し出すことによる支援など多岐にわたることを実証した。外国為替は明治初期にのみ自営したが、横浜正金銀行成立後はそれに依存する。為替資金の調達・為替相場変動に伴うリスク管理、社内為替などの諸問題が解明された。本研究では、三井文庫所蔵資料を含め三井物産の内部資料を大量に使用したが、アメリカ公文書館で発掘した資料をも多用し、独自の資料的根拠を有している。しかし各部門の資料状況はまちまちで、分析の網羅性、統一性が不十分であった点が残っている。今後の資料発掘・分析によってその点をカバーしたい。
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The Gakusen Management Review Vol.2005