1.具体的作業 平成17年8月21日から9月4日までドイツ(フランクフルト大学図書館、バイエルン国立図書館、ミュンヘン大学図書館、外国関係研究所図書館、ドイツ・ロシアドイツ人協会)に、同年12月16日より同月24日までアメリカ(ネブラスカ州歴史協会図書館、ネブラスカ大学図書館、アメリカ・ロシアドイツ人歴史協会図書館)に、平成18年3月11日より同月21日までロシア(ロシア国立図書館、国立サラトフ文書館、ペンザ教育大学図書館)に出張・史料蒐集。関連文献を購入。蒐集した史料・文献のこれまでの分析からとくに以下の成果を得た。 2.成果 (1)1921-22年にヴォルガ地域を襲った大飢饉--それはロシア全域に及んだ--の原因を解明するための基礎研究として、第一次世界大戦・社会主義革命・内戦という激動期にヴォルガ・ドイツ人が置かれていた厳しい状況、とりわけ彼らに対する食糧徴発の実態について貴重な新しい情報を得た。この情報はとりわけロシア人の新しい研究による。 (2)大飢饉のときの実際の天候、穀物の不作状況などについて貴重な新しい情報を得た。この情報はとりわけ当時の雑誌・新聞に掲載された記事の分析による。 (3)大飢饉のときのヴォルガ・ドイツ人の飢餓・餓死状況について貴重な新しい情報を得た。この情報はとりわけ彼らが当時ドイツやアメリカに書き送った手紙の分析による。 (4)ヴォルガ・ドイツ人が当時ドイツやアメリカに書き送った手紙の紹介を中心とする論文「ヴォルガ河に鳴り響く弔鐘--1921-22年飢饉とヴォルガ・ドイツ人」(平成18年秋発行予定の日露論文集『20世紀ロシアの農民(仮題)』(奥田央編、社会評論社)に掲載)を執筆した。
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