1.具体的作業 (1)1920-30年代にヴォルガ地方在住のドイツ人がアメリカ在住の親類に書き送った手紙(旧字体ズュテーリン文字の手書き、コロラド州在住Paul Flitzer氏所蔵)17通をEike Grossmann氏の助力により現代ドイツ語文字に翻字し、解読した。 (2)平成18年8月13日から29日までドイツ(ミュンヘン大学図書館、バイエルン国立図書館、外国関係研究所図書館、バーデン・ヴュルテンブルク州立図書館、シュトゥットガルト大学図書館)とスイス(チューリヒ大学図書館、チューリヒ市立図書館)に出張して収集した関連資料および日本で購入した外国語文献を分析した。 2.成果 (1)1921-22年の大飢饉の背景(第一次世界大戦、社会主義革命、内戦)と現実(食糧徴発、飢饉、飢餓)について新たに貴重な情報を得、平成17年度の研究成果をさらに深化させた。この情報はとりわけ当時の資料--新聞・雑誌(Unsere Whtschaft、Der Wolgadeutsche、Wolgadeutsche Monatshefte等)掲載記事、アメリカへの手紙(上記)、政府側のスイス人活動家Ernst Derendingerの著作等--の分析による。 (2)平成17年度に書いた草稿に加筆し、論文「ヴォルガ河に鳴り響く弔鐘--1921-22年飢饉とヴォルガ・ドイツ人」(奥田央編『20世紀ロシア農民史』社会評論社、253-289ページ、平成18年11月)を公表した。 (3)ヴォルガ・ドイツ人女1生アンナ・ヤネッケの手記(1930年代?執筆、タイプ原稿)を分析して、飢饉・飢餓を生き抜いた彼女の人生を紹介する論文の執筆を進めた。 (4)ヴォルガ・ドイツ人の外国への手紙(飢饉時)を資料集にまとめる作業を進めた。
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