研究概要 |
本年度の研究実績は,以下の2点である. 第1は,エンターテイメント・ソフト産業に関する文献研究である.近年のエンターテイメント・ソフト産業は,情報技術の発展に伴い,事業領域を拡大している.たとえば,インターネットや携帯電話での音楽配信にみられるように,新しいメディアによる事業が展開されるようになったことから,コンテンツ製作の手法も,大きく変化している.また,新しいメディアによる事業展開は,既存のエンターテイメント・ソフト産業の範囲拡大をもたらした.それにより,ソフトを製作する企業は,ハードを製造する企業との連携を強化するなど,事業間関係はより複雑になっている.そこで,本年度は,情報技術の進展により拡大した,エンターテイメント・ソフト産業の新たな事業領域に関する文献研究を行った 第2は,海外における日本のエンターテイメント・ソフト市場の調査である.本年度は,日本のエンターテイメント・ソフト市場が特に拡大している香港の調査を行った.まず,音楽や映画,マンガ,アニメーションを販売する店舗調査を行い,次に,日本のエンターテイメント・ソフトを東南アジア全域と中東諸国に販売する香港のディストリビューターと,日本のコミックを出版する現地出版社の聴き取り調査を行った. 文献研究をもとにした聴き取り調査の結果は,現在,分析を行っている.この分析結果を踏まえて,エンターテイメント・ソフト産業の事業間関係に関する分析枠組みの精緻化に取り組む予定である.
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