研究課題
本年度は、マルチエージェント型のシミュレーション研究の成果を論文「コミュニケーション競争モデルと合理性」にまとめ、『経済学論集』(東京大学経済学会)に発表した。またライセンス・ビジネスの実態の調査と事例の収集に努め、「青色LED訴訟」と日亜化学工業の調査のために、実際に徳島にある日亜化学の本社・工場を訪問調査し、社長をはじめとする複数の経営者ならびに知財部のインタビュー調査も行った。このような、実務家の頭の中に経験やノウハウとして蓄積された知識を掘り起こし、体系的に整理する作業は、継続して行ってきており、その成果の一部は、論文「ライセンス・ビジネス概論」にまとめて、『赤門マネジメント・レビュー』に発表した。さらに、職務発明に対する相当の対価(以下、「相当対価」)についても、ライセンス・ビジネスとの関連で研究を行い論文「ライセンス・ビジネスと技術者の報酬」として、『オペレーションズ・リサーチ』に発表している。総じて、本年度は、特許の経済的価値と相当対価について、実際の企業行動と市場取引に関するこれまでの四つの経営学的視点:(1)ライセンス・ビジネスの実態を踏まえた特許権の金銭的価値、(2)発明者である研究者・技術者自らがリスクを負担して起業した場合の創業者利益、(3)経営戦略論のリソース・べ一ス理論に代表される視点、(4)モチベーション理論から見た金銭的報酬の効果、から検討を加えただけではなく、さらに第五の視点:(5)ライセンス契約を核としたアライアンスの観点からも検討を始めた。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (6件) 図書 (1件)
組織とコーディネーション(伊丹敬之, 藤本隆宏, 岡崎哲二, 伊藤秀史, 沼上幹編)(有斐閣)
ページ: 337-362
組織能力・知識・人材(伊丹敬之, 藤本隆宏, 岡崎哲二, 伊藤秀史, 沼上幹編)(有斐閣)
ページ: 368-392
オペレーションズ・リサーチ Vol.51, No.8
ページ: 487-492
赤門マネジメント・レビュー Vol.5, No.9
ページ: 581-613
経済学論集(東京大学経学会) Vol.72, No.3
ページ: 2-20
Toho Gakkai comp., An Introductory Bibliography for Japanese Studies, : Social Sciences 2003-03 (The Japan Foundation) Vol.15, Part1
ページ: 111-130