3年計画のうちの2年目に当たる18年度は、既存の非営利分野である協同組合における株式会社形態の活用状況の実態に加え、構造改革特区の中に成立した株式会社立の学校を直接訪問調査し、17年度に引き続いて実態の把握に重きを置いた。 訪問調査の対象とした第1カテゴリーは協同組合であり、経営破たんしたあと非営利の精神に戻ることを標榜して再建中のコープさっぽろの現状を役員からヒアリングした。第2カテゴリーは、構造改革特区の中で初めて株式会社立の学校として設立された岡山市(旧御津町、合併により岡山市)の朝日塾中学校や、株式会社立のインターネット大学として注目されている開設準備中(訪問時点)のサイバー大学の登記上の本社と、同大学を特区認可した福岡市港湾局を訪問調査し、担当者からヒアリングした。また、テーマに関連する資料の収集を文部科学省や国会図書館、さらには関西学院大学大学院経営戦略研究科からも行った。 実態調査によって新たに得られた知見としては、構造改革特区における株式会社立学校は、必ずしも初めから株式会社による方式を理想として設立されたわけではないことが判明した。 理論面では、松下電器産業株式会社とPHP総合研究所の資料協力を得て、松下電器の株式会社化にかかわる戦前期の歴史を論文にまとめ、PHP総合研究所発行の学術雑誌に連載発表した。また、会社法の施行にあわせて、背景となった起業促進政策との関連で同法の意義と問題点を内容とする論文を発表した。
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