研究の最終年度に当たる本年度は、非営利分野における株式会社のうち、地域経済活性化を担う新タイプの第三セクター株式会社であるいわゆる「まちづくり株式会社」と会社法に立脚しながらも社会貢献を目的とし定款に非営利条項を盛り込んだ新タイプの民間非営利株式会社(Non-profit Company)の実態調査に注力した。 まちづくり株式会社については、比較的成功例と評価される盛岡まちづくり株式会社を訪問し、また関連して金沢老舗会とそれをモデルに地域振興のために新結成された高岡老舗会を訪問したが、事業努力にあたっても、地域経済の衰退という構造的問題が大きな壁になっている実態が明らかとなった。 今日、非営利分野の株式会社で新しい可能性を最も秘めるのは、民間非営利株式会社(NPC)であるが、これについては、日本初のケースである(株)ユニコの森と、商号中に初めて「非営利」の表現を認められた非営利株式会社ビッグ・エスインターナショナルを訪問した。いずれも設立後間もないこともあって、黒字を出すところまでは達しておらず、目的とする社会的事業を展開しながらも、今後に経営課題を残していることが明らかになった。 さらに、研究の最終年度であるため、3年間の実態調査の成果を報告書にまとめた。理論編では、戦後の株式会社の設立要件の変遷を批判的に考察した。実態調査編では、以下の7つのカテゴリーにわたってケース研究を収めた。1公的セクター(国)、2公的セクター(地方第三セクター)、3証券取引所、4生活協同組合の子会社、5株式会社立学校、6株式会社立病院、7民間非営利株式会社。
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