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2005 年度 実績報告書

戦略と組織の動的相互作用:組織による戦略ドリフトの研究

研究課題

研究課題/領域番号 17530280
研究種目

基盤研究(C)

研究機関一橋大学

研究代表者

沼上 幹  一橋大学, 大学院・商学研究科, 教授 (80208280)

キーワード戦略ドリフト / 創発戦略 / 日本企業 / 経営戦略論
研究概要

平成17年度の研究成果は2つに分けられる.1つめは戦略ドリフト研究の意義を既存研究の流れの中に位置づけたことであり,2つめは1990年代の日本における戦略研究の基本的な流れを明らかにしたことである.
まず1つめの戦略ドリフト研究の位置づけに関しては,既存研究のレビューを通じて,多数の人々の相互作用を通じて結果として戦略が創発してくるという社会的プロセスを研究する人々は,創発戦略が創造性とコミットメントを生み出す「良いもの」であると想定しており,逆に創発戦略を非合理的な「悪いもの」であると想定する研究者は1人の戦略家の思考プロセスには関心を払っても,戦略実行のプロセスを通じて人々が社会的な相互作用によって何かを生み出していくという社会科学的な視点を欠いていることを明らかにした.それ故,意図の上では合理的な行為を行なう人々の相互作用を通じて意図せざる結果として戦略ドリフトが発生するという研究視点が既存研究の流れの中では欠落しているとは言えないまでも,比較的手薄であることが明らかにされ,今後の有望な研究領域であることが改めて示された.
2つめの成果は1990年代の日本における経営戦略研究の流れを位置づけたことである.所謂「失われた10年」と呼ばれる期間に,日本の経営戦略論の研究者たちは,日本の製造業の強みである技術開発・生産技術・組織的経営資源の重要性を強調した研究を行なっていたこと,それ故,日本の電機メーカーに見られる多角化企業の組織問題・経営問題に対する認識が2000年頃まで発達しなかったことが明らかにされた.また,その文脈の中に,近年のモデュール化の議論が位置づけられ,市場型の経済システムと長期相対取引重視の経済システムのどちらが,どのような条件の下で優位かという議論が形を変えて表われているのだということが指摘されている.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 戦略と組織のダイナミック・インタラクション:日本企業の創発戦略に関する理論的考察2005

    • 著者名/発表者名
      沼上 幹
    • 雑誌名

      経営学論集(日本経営学会年報) 第75集

      ページ: 89-100

  • [雑誌論文] 1990年代の経営戦略論2005

    • 著者名/発表者名
      沼上 幹
    • 雑誌名

      日本の企業システム 第3巻 :戦略イノベーション(有斐閣)

      ページ: 1-17

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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